シェイクスピアの名台詞〜Memorable Speeches from Shakespeare〜

女王の乗った舟は磨き上げられた玉座さながら、水の上で燃えるかのように輝いていた。
The barge she sat in, like a burnish'd throne,
Burn'd on the water.
作品解説
『アントニーとクレオパトラ』


ローマ人は、あれほどの武将アントニーを虜にしたクレオパトラがどんな美人か、知りたくてたまりません。イノバーバス役の聞かせどころです。イノバーバスはクレオパトラはほとんど描写せず、まわりのものを描くことでその美を想像させます。巧みな話術です。
このあと、つづけて

The poop was beaten gold;
Purple the sails, and so perfumed that
The winds were love-sick with them; the oars were silver,
Which to the tune of flutes kept stroke, and made
The water which they beat to follow faster,
As amorous of their strokes. For her own person,
It beggar'd all description.
(女王の乗った舟は磨き上げられた玉座さながら、水の上で燃えるかのように輝いていた。船の艫は金の延べ板、帆は紫、帆布にたき込められたお香のせいで風さえ帆に恋わずらいするほどだ。櫓は銀製、それが笛の音に合わせて水を打ち、打たれた水はまるで櫓に惚れているかのように少しでも早く追いつこうと必死だ。女王自身はというと、とてもことばでは言い尽くせない。)

とさらに誉めたたえます。匂い立つような色気が、エジプトの不思議な香気とともに立ち上げって来るではありませんか!


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