wooden Oとはあまりに有名な台詞ですが、これは当時の劇場がOの形をしていた、つまり、円形劇場だったからこんな愛称が考えられたのでしょう。現代だったら「木の豆腐」なんて言われたかもしれません。
さわりの部分を紹介しましょう。
CHORUS. Can this cockpit hold
The vasty fields of France? Or may we cram
Within this wooden O the very casques
That did affright the air at Agincourt?
(この闘鶏場のような劇場に、フランスの広大な大地を収められましょうか?この木造の円形劇場にアジンコートの空気をおびやかした兵士の群を詰め込めましょうか?)
劇が始まる前に、舞台に口上が現れ、観客に向かって、想像力をたくましくして、舞台にないものは補って欲しいと要請します。ある意味で、観客の想像力を信じていたからこそ、シェイクスピア劇は存在できたといえます。舞台上には照明も大道具もなかった当時は、観客の想像力だけが頼りだったことはたしかなことです。
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