この台詞はホレイショーがハムレットに対して言ったもので、昨夜見た亡霊と先王が自分の右手と左手が似ている以上にそっくりだった、というシェイクスピア的比喩。こういった類比による描写はこの頃の文学作品には非常に多い。ちょうどこの反対の例を挙げる。『じゃじゃ馬ならし』で、父親から結婚の承諾を得なければならなくなったルーセンショーは偽物の父親を仕立てることにする。通りかかった商人を父親そっくりだとうまくまるめ込むのだが、それを茶化して召使いが
似てるともさ、林檎と牡蠣がそっくりなように。
As much as an apple doth an oyster.
(dothは前の文にあったresembleの代動詞)
とつぶやく。ここでは、似ても似つかないものを並べることで、似ていないことが強調される。
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