息子の前で自らの死の模様を語り終えた亡霊は、夜明け鳥の鳴き声にせかされ、復讐をハムレットに託しながら消えて行く。「さらば」を三度繰り返すところに、怨念がこめられている。ちなみに adieu は goodbye(=God be with ye) のフランス語版。シェイクスピアでは farewell より幾分か儀式ばった感じがあり、今生の別れ(死)に際して使われることが多い。シェイクスピア作品中の使用頻度は adieu 104回、 farewell 378回。『夏の夜の夢』の劇中劇でお互いの勘違いから死んで行く恋人のひとりが、同じようにadieuを3回叫ぶ。この場合はadieuをパロディ化している。
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