シェイクスピアの名台詞〜Memorable Speeches from Shakespeare〜

ひとを見てもこころ弾まぬ
Man delights not me--
作品解説
『ハムレット』2幕2場309行


全く個人的なことですが、最近春の憂鬱が重々しくこころにのしかかり、何をする気力もなくしょげはてていました。その時ふっと思い浮かんだのがこの台詞でした。まさにこの通りです。ひとと話をしても少しも愉しくなく、飲み会に出てももう途中で帰りたいなどと思う始末です。

『ハムレット』ではこれにつづいて

いや、女も同じだ、女ならと言いたげにそこでにやにや笑っているが。
no, nor woman neither, though by your smiling you seem to say so.

これはまったく翻訳家泣かせです。manは英語では人間と男の両方の意味がありますから、それをうまく利用した台詞です。日本語にすると「ひとを見ても・・・」と始めて「女も同じだ」とつづけると不自然ですが、英語は「ひと=男を見ても・・・」ですからうまく「女も同じだ」と引き取れるわけです。


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