HAMLET. What's Hecuba to him, or he to Hecuba,
That he should weep for her?
(ヘキュバのためにあれほど泣くとは、いったいヘキュバが彼の何だというのだ、彼はヘキュバの何なんだ?)
旅役者がハムレットの前で涙ながらにトロイの悲劇の女王ヘキュバ役を演じて見せたあと、縁もゆかりのない他人のために涙まで流す役者と、自らの父を殺されても何もできない自分を引き比べて憤然とする。
王の亡霊に懇願されながら、なかなか復讐を実行しないハムレットだが、旅役者が別世界を創り出す力にこころ動かされて、いよいよ復讐へと一歩を踏み出すときの台詞だ。このあと『ハムレット』は急激な展開を見せて行く。
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