KING. My words fly up, my thoughts remain below.
Words without thoughts never to heaven go.
(ことばは宙に舞い、思いは地に残る。思いのこもらぬ祈りは天には届かぬ。)
兄を殺して、王位を得、兄の妻も得たクローディアスだが、ハムレットに兄殺しさながらの芝居(劇中劇)を見せられ、良心の呵責に苦しみはじめる。ひざを折って神に祈ろうとするが、虚しい。この様子をひそかにうかがっていたハムレットは復讐の刃を振りかざす。実に劇的な場面だ。一瞬緊張が走るが、ハムレットは刃を収める。祈りは王の罪のけがれを清めてしまうからだ。
こうした復讐の先延ばしは当時流行の復讐劇に共通のパターンだった。その他、亡霊が登場したり、狂気をよそおったり、劇中劇を利用したり、共通する点が多く見られる。
upとbelowの対比によって簡潔に、しかも、力強くクルーディアスの苦悩を伝えている。
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