王になったものの、以前思い描いていた栄耀栄華はなく、マクベスが手に入れたのは「発作だらけの熱病」の人生だけでした。王位と引き替えに失った眠りの価値を、マクベスは初めて知るのです。ここでは「墓」が怖ろしい死の場所としてではなく、安らかな眠りの場所、安眠の場所として羨ましそうに語られています。そして、逆に生きている者は発作ばかり起こして熱に浮かされて苦しんでいます。マクベスの口から語られるだけに、強烈な皮肉に響きます。
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