モロッコ王は筺に書かれた銘を手掛りに、金の筺を選ぶ。彼にしてみれば、自尊心の許す唯一の選択だった。しかし、中に入っていたのはポーシャの絵姿ではなくうわべに惑わされたモロッコ王をあざける格言だった。結局、モロッコ王にとって光るものは、どくろ(死)であり、生涯の独身(家系の断絶)であるとは何という皮肉だろう。
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