シェイクスピアの名台詞〜Memorable Speeches from Shakespeare〜

今や不満の冬も過ぎ、ヨークの太陽が輝かしい夏をもたらしてくれた。
Now is the winter of our discontent
Made glorious summer by this sun of York;
作品解説
『リチャード三世』1幕1場1行


時は薔薇戦争の真っ直中。運命はランカスター家からヨーク家の方に微笑みを送り、上げ潮に乗り天下を我がものにしようとグロススター伯リチャードは密かに策略を巡らせる。この台詞は開幕第一声。冬と夏、不満と輝きの周到な対比にシェイクスピアお気に入りの、太陽と息子('sun', 'son')の語呂合わせを忍び込ませている。イアン・マッケラン主演の『リチャード三世』の開幕の演出は一見の価値あり。

この後に次の台詞がつづく。

我らが家に低くたれ込めていた雲も、海の底深くに埋葬された。
And all the clouds that lour'd upon our house
In the deep bosom of the ocean buried.

もちろん、「雲」は敵であるランカスター家を指しているが、深読みすれば、リチャードの野望の邪魔になる者すべてを指しているとも取れる。


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