シェイクスピアの名台詞〜Memorable Speeches from Shakespeare〜

宿敵両家の胎内より、星の巡り悪しき一組の恋人、世に生を受く。
From forth the fatal loins of these two foes
A pair of star-crossed lovers take their life.
作品解説
『ロミオとジュリエット』前口上 5-6行


『ロミオとジュリエット』では劇が始まる前に、口上役によってソネット形式の口上が語られる。この二行だけでもくらい運命を予感させるが、つづく口上の辞はさらに不吉だ。

彼らの逆運は憐れにも破れ果て、死をもって親のいさかいを葬る。
Whose misadventur'd piteous overthrows
Doth with their death bury their parents' strife.

映画「恋に落ちたシェイクスピア」では劇中の『ロミオとジュリエット』初日の場面で、どもりの口上役が実に魅力的にこの口上を読んでいる。また、ディカプリオの『ロミオとジュリエット』では、ニュースキャスターがこの口上をヘッドラインとして読み上げている。台詞の文体の重さを全く無視した味の悪さが如何にもアメリカ的だ。

日本語に訳すとつまらないが、原文の最初の行は'f'の音を巧みに響かせた名調子になっている。シェイクスピアは'f'の頭韻が好きらしく、『あらし』でも島の妖精に

Full fathom five thy father lies

と唄わせている。


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