シェイクスピアの名台詞〜Memorable Speeches from Shakespeare〜

財産こそが俺様の求愛踊りの伴奏さ。
wealth is burthen of my wooing dance.
作品解説
『じゃじゃ馬ならし』 一幕二場 68行


父親の死をきっかけに、幸運を掴もうと国を出たペトルーキオは親友のいるパデュアへとやってきた。旅の目的はと訊かれて答えた答えは「上出来のかみさんをもらい、しこたま大もうけするためさ」(Happily to wive and to thrive as best I may.)だった。ホーテンショオから金持ちの娘がいると聞かされたときに上の台詞を言う。金さえあればソクラテスの妻のクサンチッペのような悪妻だってかまわない、とまで言い切る。ここまで徹底すると立派である。その娘のじゃじゃ馬ぶりを知っているホーテンショオは良心がとがめて乗り気がしないが、召使いのグルーミオは

金さえ付いて来りゃ、何でも来いさ。
Why, nothing comes amiss so money comes withal.

と、簡単に片づける。

ここまで読むと、ペトルーキオが金の亡者のようだが、実際にじゃじゃ馬に会ってからは財産の話はまったくない。やや拍子抜けするが、これはシェイクスピアのいつものお茶目な忘れっぽさである。

しかし、財産があれば・・・という発想は現代では逆玉ねらいと蔑まれている。非難を承知で敢えて言えば、この発想は現代では一部の女性のものではないでしょうか。


Copyright (C) 2003 戸所宏之 引用の際はURLの表示をお願いします

inserted by FC2 system